
この本とは別に、キャリアデザインに関する本も読んだからだろうか、同じような部分が心に残った気がする。
著者はフリーの編集者。大学教授でもあり、都内で編集学校を主宰してもいる。そんな人の講義をまとめたのがこの本。もともと、具体的な編集術を述べたというより(著者なりのインタビュー術、文章術もあるけれど)、概論を語った感じ。ただし、テーマが「編集」だけあって、「編集」という概念が雑誌や本、ウェブなどのメディアを作ることに限らず、生活全般に広がりうるということを示していく。
編集の醍醐味は、常に未来に対し開かれたスタンスであり続けること、と著者はいう。別に読んだキャリアデザインの本でも「時には流されることも大事」とあり、非常に腑に落ちたのを思い出した。
著者の言葉では「先入観とかできあがった『価値観』ではなく、『反応する自分』でいたい」というのも印象深かった。別の箇所でも述べているのだが、著者の考える「編集」を成り立たせるには、まず、目の前の世界に対し謙虚さが求められる。素直に世界をとらえ、「おもしろい」と思えるかどうかから、著者の考える「編集」は始まるようなのだ。世界にあふれているはずの「面白い」モノ、ヒト、情報を集め編んでいく。その作業が人生を豊かにしないわけがない。だからこそ、この本の題は「僕たちは編集しながら生きている」になるのだ。
著者の講義を章単位でまとめた合間には、著者の講義を受けた若者たちの紹介もされている。中には現在、Tech系のブログで名前を見かける人や運営する店で買い物をしたことがあった人も。意外なところでリンクがつながった感じだ。
思えば自分の身の回りでも、著者の講義を受けてはいないだろうけど世界を編集しようとしている人は見受けられる。自分の周りを少しずつポジティブに変えていく人たち。そんな人がもっと増えてほしいし、自分もその輪に加われたら、と思いたくなる本だった。





