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名刺代わりに。

弾言(小飼弾)

プログラマー、投資家、アルファブロガーの著者が教える現代社会の成功術。会計の発想を生かし「あなたは自分という会社の社長で筆頭株主。上手に自分を経営しよう」と説く。自分がグローバルな競争の渦中の中にあることを自覚し、他人任せにせず自分がコントロールできるものを増やし自分が勝てるゲームを作れ、それこそ「仕事」だ、という主張はしっくりくる。

複式簿記を例えに「自分と対立する立場の人間になったつもりで物事を考えろ」と説明する著者。発想のポイントは「定量化」にあるようだ(「いいか悪いかでなく、ナンボで考える習慣をつけよう」(P107))。

元ライブドア最高技術責任者という著者は「人の心はカネで買える、とは人間関係を可視化して考えることである」(P147)という。ここだけ抜き出すと突飛なようだが、読むと著者の主張は説得力があるのだ。「人の心はカネで買える」という発想に定性化(いいか悪いか)で考える人は反発する。しかし定量化で考える人は上記のような発想をするのだ。

がしかし。この発想が個人の生き方、考え方にとどまるうちはかまわないが、社会のありようにまで広がると違和感を感じた。「過疎化しているところはいっそゴーストタウンにしてしまうべきだ」という主張は、地方都市に住む者としては容易に受け入れられない。今住む町はまぁ都会だけど、周囲には「限界集落」もあるわけで。ゴーストタウンにしてしまえという発想には、地方文化を尊重する態度がなさすぎないか。

とはいうものの、ほかの部分ではうなずける点が多い。ベーシック・インカムの提案などは、ほかの文献にもあたってみたくなった。定性化と定量化という発想は、応用できる範囲はかなり広いと思う。物事を正邪(定性的)にしか見られない人は案外多い。そういう考え方に最近は違和感を感じてもいた。別のモノサシを教えてもらった気がする。

自分が物事に対するとき、定性的にみるか定量的にみるか、その分かれ目はどこにあるか、考えるようにしたい。そうすれば自分自身のモノサシも見つかるだろう。
by fukuchanM | 2009-01-20 02:58 | 本・雑誌

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